未来のプロップをゼロから作らず、CASIOを2本つないだ。
リドリー・スコット監督の『エイリアン』で、エレン・リプリーやダラス船長の腕に見えるのはCASIO F-100をベースにした特製プロップです。時計メディアHodinkeeの検証では、2本のF-100を赤いパーツでつなぎ、一本のストラップに載せた構造が確認されています。
面白いのは、F-100そのものが1978年の市販品だったことです。正面に並ぶ大型ボタン、四角い液晶、黒い樹脂ケース。金属時計が主流だった時代にCASIOが採用した素材とUIが、映画側から見ると“改造すれば宇宙船の標準装備に見える”ほど未来的でした。
映画の小道具として見ると、2本を重ねた理由そのものより「既製品が未来の道具に見えた」ことが重要です。1970年代末のデジタル時計は、まだ日用品というより新しい電子機器の顔をしていました。F-100は、その時代の温度をいまに残しています。
2021年にはF-100の4つのフロントボタンや配色を受け継ぐA100が登場しました。完全復刻ではなく、メタルバンドや現代的な仕上げで再構成されたことで、映画の中の未来が「レトロフューチャー」という現代のファッションへ変換されています。
参考:Hodinkee Japan — Alien / F-100 ↗ CASIO Watch Heritage 1970s ↗ CASIO — A100 ↗