計算機から、電話帳、予定表、タッチ画面へ。
1980年のC-80は、腕時計にテンキーと8桁の四則計算を載せたCALCULATORスタイル。CASIO公式は、複数キーに触れてしまった場合にも意図した入力を推定するFTS回路まで説明しています。単に小さくしただけでなく、「指で押しにくい腕時計だからどうするか」まで設計していたのが面白いところです。
1982年には英和・和英辞書を内蔵したT-1500/T-2000、1983年には液晶上の仮想キーを触って計算するTC-500、1984年には電話番号を保存するCD-40が登場します。時計の中へ入ったものを並べると、当時の“持ち歩きたい情報”がそのまま見えてきます。
1991年のVDB-1000まで進むと、Data Bankにタッチスクリーンと全面ドット表示が入り、英字・数字・カナや世界地図まで表示できました。いま見ると「スマートウォッチの先祖」と言いたくなりますが、重要なのは未来を予言したことより、当時の技術で“情報端末を身につける”ことを本気で商品化していた点です。
スマートフォンが多くの機能を一台へ集約した現在から振り返ると、これらの時計は不器用にも見えます。しかし、その不器用さこそが魅力です。ひとつの目的のためにキー、液晶、メモリ、センサーを工夫する。そこに80年代の電子機器らしい顔があります。
参考:CASIO Watch Heritage 1980s ↗ CASIO Corporate History 1980s ↗ CASIO Watch Heritage 1990s ↗