“全部入り”ではなく、ひとつの未来を一本ずつ試す。
WQV-1は、CASIO公式が「世界初のカメラ機能つき腕時計」と位置づけるリストカメラです。小さなレンズとCMOSセンサーを腕時計へ搭載し、全面液晶で撮影画像を確認できました。初代はモノクロでしたが、翌2001年のWQV-10ではカラー撮影・表示とデジタルズームへ進みます。
同じ2000年のWMP-1は、世界初のMP3プレーヤーつき腕時計。USB経由でPCから音楽データを転送し、32MBメモリーへ保存。CASIO公式では64kbpsの低音質モードで最長約1時間と説明されています。
WQV-1とWMP-1を並べると、CASIOが未来の正解を知っていたわけではないことも分かります。カメラ時計もMP3時計も、後に腕時計の標準機能にはなりませんでした。それでも「できるなら腕に載せてみる」という実験があったから、CASIO DIGITALの歴史は読み物として面白い。
成功した機能だけを追うと技術史は直線に見えます。しかし実際の未来は、たくさんの寄り道からできています。WQV-1とWMP-1は、その寄り道が最も可視化された二本です。